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リスクアセスメントの製造業での具体例3選|実施手順も解説

製造業でリスクアセスメントを実施する必要があるけれど、具体的にどう進めればよいか分からない。そんな方に向けて、製造業で使えるリスクアセスメントの具体例3選と実施手順を解説します。

筆者は自動車部品工場で15年間勤務し、安全委員会のメンバーとしてリスクアセスメントの実施に数多く携わってきました。現場の実感をもとに、形式だけで終わらないリスクアセスメントの進め方をお伝えします。

目次

リスクアセスメントとは?

リスクアセスメントとは、職場に潜む危険性や有害性を特定し、リスクの大きさを評価して、優先順位をつけて対策を講じる一連の取り組みです。

労働安全衛生法第28条の2により、事業者にはリスクアセスメントの実施が努力義務として課されています。製造業では機械設備や化学物質によるリスクが多いため、特に重要な活動として位置づけられています。

リスクアセスメントの基本的な流れは以下の4ステップです。

1. 危険性・有害性の特定 – 作業ごとに潜在的な危険を洗い出す

2. リスクの見積もり – 発生の可能性と重篤度で評価する

3. リスク低減措置の検討 – 優先順位をつけて対策を決定する

4. 記録と見直し – 結果を文書化し、定期的に再評価する

リスクの見積もり方法

製造業で広く使われているのは「加算法」です。リスクの大きさを「重篤度」「発生の可能性」「危険にさらされる頻度」の3要素で評価します。

重篤度の基準

点数 重篤度 内容
10 致命的 死亡または重大な障害が残る
6 重大 休業1ヶ月以上の傷害
3 中程度 休業1日〜1ヶ月未満の傷害
1 軽微 応急処置で対応できる傷害

発生の可能性

点数 可能性 内容
6 高い 日常的に発生する可能性がある
4 やや高い 時々発生する可能性がある
2 低い ほとんど発生しない
1 極めて低い まず発生しない

危険にさらされる頻度

点数 頻度 内容
4 常時 毎日の作業で常にさらされる
2 時々 週に数回程度さらされる
1 まれ 月に数回以下

リスクレベル = 重篤度 + 発生の可能性 + 頻度

合計点 リスクレベル 対応
15〜20 IV(重大) 直ちに対策を実施、作業中止も検討
10〜14 III(高い) 速やかに対策を実施
5〜9 II(中程度) 計画的に対策を実施
3〜4 I(低い) 必要に応じて対策を検討

製造業での具体例3選

具体例1: プレス機での挟まれ・巻き込まれリスク

項目 内容
作業内容 プレス機への材料投入・取り出し
危険性 金型閉鎖時に手指が挟まれる
重篤度 10(指の切断の可能性)
発生の可能性 4(安全装置の不具合時に発生し得る)
頻度 4(毎日の反復作業)
リスクレベル IV(合計18点)

対策(優先順位順):

1. 本質的対策: 自動投入装置の導入で手作業をなくす

2. 工学的対策: 両手操作式の安全装置を設置する

3. 管理的対策: 光線式安全装置の定期点検を月1回実施する

4. 個人用保護具: 耐切創手袋の着用を義務化する

現場の実感としては、プレス機のリスクアセスメントは最も慎重に実施すべき項目です。私が勤務していた工場でも、自動投入装置の導入後に挟まれ事故がゼロになった実績があります。

具体例2: フォークリフトと歩行者の接触リスク

項目 内容
作業内容 倉庫内でのフォークリフト運搬
危険性 フォークリフトと歩行者の接触
重篤度 6(骨折・重傷の可能性)
発生の可能性 4(交差点での出会い頭が多い)
頻度 4(毎日運搬作業を実施)
リスクレベル III(合計14点)

対策:

1. 歩行者通路とフォークリフト通路を物理的に分離する(ガードレール設置)

2. 交差点にカーブミラーと警告灯を設置する

3. フォークリフトに接近警報装置を取り付ける

4. 歩行者に高視認性ベストの着用を義務化する

具体例3: 化学物質による健康障害リスク

項目 内容
作業内容 有機溶剤を使用した部品の洗浄作業
危険性 有機溶剤の蒸気吸入による中毒
重篤度 6(慢性的な健康障害の可能性)
発生の可能性 2(換気装置が正常なら低い)
頻度 4(毎日の作業)
リスクレベル III(合計12点)

対策:

1. 本質的対策: 有機溶剤を水性洗浄剤に代替する

2. 工学的対策: 局所排気装置の設置・能力向上

3. 管理的対策: 作業環境測定を年2回実施、SDS(安全データシート)の周知

4. 個人用保護具: 防毒マスク・保護手袋・保護メガネの着用

効果的なリスクアセスメントの進め方

現場の作業者を参加させる

リスクアセスメントは管理者だけで行わず、実際に作業を行う人を必ず参加させましょう。現場の作業者しか知らないヒヤリハット情報が、重大リスクの発見につながるケースは多いです。

定期的に見直す

リスクアセスメントは一度実施して終わりではありません。以下のタイミングで見直しを行いましょう。

  • 新しい設備や作業方法を導入したとき
  • 労働災害やヒヤリハットが発生したとき
  • 法令の改正があったとき
  • 最低でも年1回の定期見直し
  • 対策の優先順位を守る

    リスク低減措置は、以下の優先順位で検討するのが原則です。

    1. 危険な作業そのものをなくす(本質的対策)

    2. 設備や装置で危険を防ぐ(工学的対策)

    3. ルールや教育で管理する(管理的対策)

    4. 保護具で身を守る(個人用保護具)

    保護具だけに頼る対策は最終手段です。上位の対策から順に検討することが、効果的なリスク低減につながります。

    製造業の安全管理全般については「安全宣言の例文5選|製造業で効果的な書き方とポイント」もあわせてご覧ください。

    まとめ

    リスクアセスメントは、製造業の労働災害を未然に防ぐための重要な取り組みです。「危険の特定→リスクの見積もり→低減措置の実施→見直し」の4ステップを確実に実施し、対策の優先順位(本質的対策→工学的対策→管理的対策→保護具)を守ることが効果を高めるポイントです。

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    この記事を書いた人

    工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送
    り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活
    動中。

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