マスク製造工場の仕事内容・年収を経験者が解説【2026】

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マスク製造工場は、不織布の原反からマスク本体を成形し、ノーズワイヤー・耳ひもを溶着して個包装まで仕上げる工場です。時給は1,150〜1,500円、正社員月給は22〜30万円が中心で、クリーンルーム勤務・夜勤手当込みなら年収400万円台も十分狙えます。

結論:マスク製造の仕事は「原反投入・本体成形・ノーズワイヤー挿入・耳ひも溶着・個包装・検品」の6工程に分かれ、ライン化が進んでいるため未経験から1〜2週間で戦力になれる職場です。クリーンルームでの軽作業中心、力仕事はほぼなく、女性比率が高めなのが特徴です。一方で、単調さとクリーンルーム特有の制約(私語ほぼ不可・全身カバーの作業着)がきつさの中心になります。

この記事を書いている本田健一は、製造業7社・15年の現場経験者で、コロナ期の2020〜2021年には不織布マスクの増産応援で関東のマスク工場にも入りました。クリーンルームでの実勤務感覚を、求人票では見えない目線でお伝えします。

まずざっと求人を眺めたい方は、未経験歓迎の工場求人一覧もあわせてチェックしてください。

目次

マスク製造業界の現状|国産回帰と安定生産フェーズ

2020〜2022年のコロナ特需を経て、マスク製造業界は「国産回帰」と「安定生産フェーズ」に入っています。経済産業省の補助金(国内マスク生産設備導入支援事業)で増設した国産ラインが稼働を続けており、日本国内の不織布マスク生産能力はコロナ前の約3〜4倍に拡大しました(日本衛生材料工業連合会・各社IRより試算)。

とはいえ、コロナ収束後は需要が落ち着き、業界全体は「過剰生産能力をどう回すか」のフェーズにあります。具体的には次の3パターンに分かれて生き残り戦略が進んでいます。

  • 国産プレミアム路線:医療機関・官公庁向けに国産100%・日本製シールで差別化(興和・玉川衛材など)。
  • サブカテゴリ展開路線:抗菌・冷感・小顔・カラーマスクなどニッチ展開(アイリスオーヤマ・横井定など)。
  • BCP在庫路線:自治体・企業の備蓄需要に向けた長期保存マスク(ユニ・チャーム・白十字など)。

求人側の動きとしては、コロナ期に急増した派遣・短期求人は減り、現在は正社員・無期契約の安定雇用が中心です。「コロナ特需は終わったから不安定では?」と心配される方も多いですが、医療機関・介護施設・自治体向けの定常需要が下支えしているため、ラインを止めるリスクは低めの業界と言えます。

マスク製造の仕事内容|6工程をやさしく解説

マスク製造工場の業務は、おおむね次の6工程に分かれます。1人で全工程をこなすのではなく、ライン上の1工程または2工程に配属されるのが一般的です。

工程 主な作業 体力負担 環境負担 未経験向き
原反投入 不織布ロールのセット・交換
本体成形 プリーツ加工機の監視・調整 中(機械音)
ノーズワイヤー挿入 ワイヤー供給機の補充・確認
耳ひも溶着 超音波溶着機の監視・不良チェック 中(熱・音)
個包装・箱詰め 包装機補充・段ボール詰め
検品・出荷 外観検査・ロット記録・パレット積み 小〜中

① 原反投入

幅20〜30cm、重量20〜30kgの不織布ロール(原反)を機械にセットする工程です。ロール交換時に多少の力仕事が発生しますが、リフター・ロール台車が完備されている工場がほとんどで、女性スタッフも問題なくこなしています。投入は1ライン1時間に1〜2回程度。

② 本体成形

不織布3層をプリーツ加工機で折り畳み、マスク本体の形に成形する工程です。機械が自動でやるので、作業者は機械の監視と不良発生時の停止対応がメインです。立ち仕事ですが歩き回ることはほぼなく、慣れれば1日で覚えられます。

③ ノーズワイヤー挿入

マスク上部に入る形状保持ワイヤーを供給機にセットし、欠落・断線がないかを確認する工程です。マスク製造で最も軽作業と言われる工程で、未経験者・女性スタッフの最初の配属先として最多です。

④ 耳ひも溶着

マスク本体の両側に耳ひもを超音波で溶着する工程です。溶着不良があると箱詰め前の検品で全数チェックが必要になるため、マスク製造の歩留まりを決める最重要工程です。耳ひも供給の補充と、溶着部の目視チェックが主業務。

⑤ 個包装・箱詰め

1枚ずつまたは5〜10枚セットでビニール個包装し、紙箱・段ボールに詰める工程です。包装機の補充とロット番号確認が中心で、段ボール詰めの最終段階だけ20〜30kgのケースを扱います。腰へ負担がかかる工程ですが、台車・コンベアが整備されているため力仕事は限定的です。

⑥ 検品・出荷

外観検査(変形・汚れ・耳ひも欠け)を行い、ロット記録を取って出荷します。クリーンルーム内では検品まで、出荷ヤードはクリーンルーム外という工場が多く、検品担当は1日中クリーンルーム内、出荷担当はクリーンルーム外という棲み分けになっています。

クリーンルーム勤務の実態|服装・休憩・コミュニケーション

マスク製造工場の最大の特徴は、ほぼ全工程がクラス10万〜100万のクリーンルームで行われることです(医療用マスクはクラス1万)。クリーンルームと聞くと半導体工場のような厳格さをイメージしがちですが、マスク製造のクリーンルームはそこまで厳しくありません。

具体的な服装と入室手順は次の通りです。

  • クリーンスーツ:上下つなぎ型または上下分離型のクリーンウェア(支給品)。
  • キャップ・フード:髪の毛が出ないように全頭カバー。
  • マスク・手袋:当然ながら自社製マスクを着用。手袋は薄手のニトリル。
  • クリーンシューズ:靴の上から履くカバー型または専用靴。
  • エアシャワー:入室前30秒〜1分のエアシャワーで埃を落とす。

休憩は1日2回(午前・午後)+昼休みが基本で、休憩のたびにクリーンスーツの脱着+エアシャワーが必要なため、「ちょっとトイレに」が手間という現場ならではの不便さがあります。出入りを最小化するため、休憩までしっかり持つ工場が多いです。

コミュニケーション面では、マスク着用+ライン音+クリーンルーム内私語抑制で、同僚との会話はほぼ目線とジェスチャーになります。これが楽と感じるか孤独と感じるかは、性格次第で大きく分かれるポイントです。詳しい体感はクリーンルーム勤務の現場経験ベースの記事(クリーンルームの仕事はしんどい?15年経験者が語る実態)で深掘りしています。

マスク製造工場の年収・時給相場【2026年版】

マスク製造工場の給与水準は、雇用形態と地域・夜勤の有無で次のように分布しています。求人サイト各社の掲載データと厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(衛生材料・化学繊維製造)をベースに整理しました。

雇用形態 時給/月給 年収目安 備考
パート・アルバイト 1,000〜1,300円 180〜250万円 日勤のみ・地方
派遣社員(日勤) 1,200〜1,500円 250〜310万円 主要派遣会社経由
派遣社員(2交替) 1,400〜1,700円 320〜400万円 夜勤手当25〜35%上乗せ
正社員(オペレーター) 月給22〜28万円 320〜420万円 賞与年2回・大手
正社員(リーダー) 月給28〜35万円 420〜550万円 3年以上のライン経験

注目すべきは夜勤・2交替の手当上乗せです。マスク製造は24時間稼働の工場が多く、夜勤込みでシフトに入れる人は、未経験スタートでも年収380〜420万円が現実的なラインになります。「クリーンルームの軽作業で年収400万円」は工場系のなかでも条件がよい部類で、これがマスク工場の隠れた人気要因です。

マスク製造の主要メーカー|大手と国産プレミアム

マスク製造工場の求人を探すときは、メーカーの規模感と特徴を押さえてから動くと失敗が減ります。代表的なメーカーは次の通りです。

  • ユニ・チャーム:超立体マスク・ソフトーク。福島・愛媛・四国中央など複数拠点。寮完備の正社員求人多数。
  • 興和(Kowa):三次元マスク。岐阜・愛知中心、国産100%訴求で安定生産フェーズ。
  • 玉川衛材:フィッティ。東京・茨城拠点、医療機関・官公庁向けの安定需要。
  • アイリスオーヤマ:角田工場(宮城)。コロナ後に増設、家電工場との合同採用が多い。
  • 横井定:エコ・ナノマスク。愛知・三重、抗菌・冷感などサブカテゴリ展開が強み。
  • 白十字:サージカルマスク中心。医療材料工場との併設拠点が多く、安定操業。

大手は寮完備・賞与年2回の正社員求人が中心、地場メーカーは時給・派遣比率が高い傾向です。「国産マスク 求人」で探す場合は興和・玉川衛材・横井定あたりが該当します。

マスク製造工場で働く魅力ときつさ

魅力(楽な側面)

  • 力仕事がほぼない:原反交換・段ボール詰め以外は座位または立位の軽作業。
  • クリーンルームで快適:室温20〜24度・湿度40〜55%で年間安定。夏の暑さと無縁。
  • 覚える工程が少ない:1工程に絞れば3日、全工程把握しても2〜3週間。
  • 女性比率が高め:現場の50〜70%が女性で、女性が働きやすい配慮が進んでいる。
  • 夜勤込みなら年収400万円:軽作業×高収入の珍しい組み合わせ。

きつさ

  • 単調さ:同じ動作を1日中。集中力よりも継続力が問われる。
  • クリーンルームの制約:私語ほぼ不可、休憩のたびにエアシャワー、トイレも気軽に行きにくい。
  • マスク・手袋常時着用:夏でも冬でも全身カバー。肌が弱い人は手荒れ・かぶれが出やすい。
  • 2交替・3交替の生活リズム:高収入は夜勤前提のことが多く、夜型に体を慣らす必要あり。
  • 機械トラブル時の集中対応:超音波溶着機の不良などが発生するとライン全員で原因追及。

食品工場のような暑さ・におい・水濡れがない代わりに、「動けない・話せない・離れられない」というクリーンルーム特有の窮屈さがあります。食品工場のきつさと比較すると、肉体的にはマスク工場のほうが楽、精神的にはどちらも単調さが課題、という整理になります(参考: 食品工場はきつい?15年経験者が暑さ・におい・人間関係の実態を解説)。

マスク製造工場に向く人・向かない人

向く人

  • 暑さ・寒さに弱く、空調の効いた環境で働きたい人
  • 力仕事より、決まった作業を正確に繰り返すほうが得意な人
  • 同僚との雑談より、自分のペースで黙々と作業したい人
  • 夜勤に抵抗がなく、年収400万円台を狙いたい人
  • 清潔・衛生が好きで、整った環境で働きたい人

向かない人

  • 体を動かす仕事・歩き回る仕事が好きな人
  • 同僚とおしゃべりしながら働きたい人
  • マスク・手袋など常時着用の制約が苦手な人
  • 同じ場所で同じ動作を繰り返すのが極端に苦手な人
  • トイレ・休憩を自分のタイミングで取りたい人

未経験OK度|マスク製造は工場初心者の入口に最適

マスク製造は、工場未経験者にとって入口として優秀な業種です。理由は3つあります。

  1. 覚える作業が少ない:1工程あたり3日、全体把握も2〜3週間で完了。複雑な機械操作・段取り替えは熟練者の役割で、新人は監視・補充・検品が中心。
  2. 体力ハードルが低い:力仕事は限定的で、女性・50代・60代スタッフも多数活躍。年齢で弾かれにくい業界。
  3. 環境ストレスが少ない:クリーンルームは年間通じて空調管理。食品工場の暑さ・冷蔵庫の寒さといった環境ストレスがない。

類似の業種としては、医療機器製造のクリーンルーム勤務もマスク製造と仕事の質が近いです。医療機器工場(医療機器製造の仕事内容・年収を解説)はマスク工場より精密作業・資格取得の機会が多く、キャリアの伸びしろを重視するなら検討の価値があります。

本田健一の周辺事例|コロナ期の増産応援で見たマスク工場

私が直接マスク工場に入ったのは、2020年4月のコロナ第一波で、所属していた製造派遣会社から関東のマスク増産ラインに2か月間ヘルプに入ったのが最初でした。それまでは半導体工場のクリーンルームに2年いたので、クリーンルームの服装・所作には慣れていたのですが、マスク工場で驚いたのは「想像以上に女性が多い」「ラインが速い」「マスクが床に落ちると即廃棄」の3点でした。

特にライン速度は印象的で、1分間に約500〜700枚のマスクが流れてくる本体成形機を、3〜4人で監視します。慣れるまでは目で追いつかず、不良発見が遅れて30〜50枚単位で廃棄が出ることもありました。3週間目あたりから視野の使い方が変わり、ラインのリズムに体が合ってきます。

もう1つ印象的だったのは、ベテラン女性スタッフ(50〜60代)の存在感です。エアシャワー前で次々と新人に指示を出し、ラインに入ればミシン目1mmずれた本体を瞬時に弾く。「マスク工場は経験を積めば歳を重ねても活躍できる場所」というのは、現場で見た実感です。

まとめ|マスク製造工場は軽作業×安定収入の優良職場

マスク製造工場は、コロナ特需後の安定生産フェーズに入り、求人としては正社員・無期契約中心の落ち着いた市場になっています。仕事は6工程に分かれ、ライン化が進んでいるため未経験から1〜2週間で戦力化が可能。クリーンルーム勤務で空調・衛生が整い、力仕事も限定的なので、女性・50代・60代の方も含めて幅広く活躍できる業種です。

給与は時給1,150〜1,500円・正社員月給22〜30万円が中心で、夜勤2交替を含めると年収400万円台が射程に入ります。クリーンルーム特有の「動けない・話せない」窮屈さに耐えられるかが向き不向きの分岐点で、もし合えば「軽作業×高収入」という工場系では珍しい組み合わせを実現できます。

まずは未経験歓迎の工場求人一覧から、マスク・不織布製造の求人をチェックして、寮の有無・夜勤手当・配属工程を比較してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. マスク製造工場は未経験でも本当に大丈夫ですか?

はい、マスク製造は工場業種のなかでも未経験ハードルが低い部類です。覚える作業が1工程あたり3日程度、全体把握も2〜3週間で完了するため、入社当日から実務に入る求人がほとんどです。30〜60代の方も多数活躍しています。

Q2. マスク工場の年収はコロナ後にどう変わりましたか?

コロナ特需期(2020〜2021)は時給1,600〜2,000円の派遣求人が多発しましたが、2023年以降は安定生産フェーズに入り、時給1,150〜1,500円・正社員月給22〜30万円が標準です。夜勤2交替で年収400万円台が現在の現実的な上限ラインです。

Q3. クリーンルームでの作業は息苦しくないですか?

マスク製造のクリーンルームはクラス10万〜100万と、半導体工場のクラス1〜100に比べてかなり緩めです。空調・換気が効いており、室温20〜24度・湿度40〜55%で安定しています。マスク・キャップは着用しますが、息苦しさで脱落する人は少数派です。

Q4. マスク工場の夜勤はきついですか?

マスク製造の夜勤は、軽作業中心という業務特性のため、肉体的なきつさは食品工場や金属加工に比べると軽めです。ただし、生活リズムを夜型に切り替える必要があり、最初の1〜2週間は体調管理が課題です。夜勤手当は基本給の25〜35%上乗せが相場です。

Q5. 国産マスクメーカーの正社員求人はどこで探せますか?

ユニ・チャーム、興和、玉川衛材、アイリスオーヤマなどの大手は自社採用ページ+大手求人サイトに掲載があります。地場の国産メーカーは派遣会社経由の求人が多く、工場系派遣会社の求人一覧をチェックするのが効率的です。

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この記事を書いた人

工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活動中。

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