電子部品の製造工程|仕事内容と年収を経験者解説【2026】

「電子部品ってどんな工程で作られているの?」「電子部品工場の仕事は工程ごとにどう違うの?」と気になる方は多いのではないでしょうか。スマートフォン1台に1,000点以上、自動車1台に数千点搭載される電子部品は、見た目は数ミリの小さな部品でも、完成までに5つの大きな工程を経ています。

結論から言うと、電子部品の製造工程は「材料調合→成形・積層→電極形成→焼成・切断→検査・実装」の5段階で、それぞれ求められるスキルと体への負荷がまったく違います。工場勤務15年で電子部品工場(MLCCライン)も2年経験した立場から言えば、工程を理解して求人を選ぶだけで、入社後の「思っていたのと違う」を大幅に減らせます。

この記事では、電子部品製造の5工程を順に解説し、各工程の仕事内容・必要スキル・きつさ、年収相場、本田の経験談、未経験から入る手順までを実体験ベースで紹介します。読み終えるころには、自分にどの工程の仕事が向いているかが判断できます。

目次

電子部品の製造工程は5段階|まずは全体像をつかむ

電子部品の作り方は、扱う製品(コンデンサ・抵抗・コイル・コネクタなど)によって細部は異なりますが、量産工場の流れは大きく次の5段階に整理できます。

工程 主な作業 体への負荷 必要スキルの方向
1. 材料調合 粉末・ペーストの計量・混合 中(重量物あり) 正確な計量・薬品取扱い
2. 成形・積層 シート成形・積層プレス 低〜中 装置オペレーション
3. 電極形成 印刷・蒸着・めっき クリーンルーム作業
4. 焼成・切断 焼成炉・ダイサー操作 中(高温環境) 装置監視・段取り
5. 検査・実装 外観・電気特性検査、基板実装 低(座り作業中心) 集中力・判断速度

同じ「電子部品工場」の求人でも、配属される工程によって立ち仕事の時間・薬品の有無・残業の出方がまったく違います。求人票で「どの工程に入るか」を確認することが、後悔しない職場選びの第一歩です。電子部品メーカーの企業選びは電子部品の製造業者ランキングと工場の仕事もあわせて読むと立体的に理解できます。

工程1|材料調合:粉末・ペーストを計量して混ぜる

最初の工程は、セラミック粉末・金属ペースト・樹脂・溶剤などの原材料を、レシピ通りに計量して混合タンクに投入する作業です。MLCC(積層セラミックコンデンサ)であれば、誘電体セラミックの粉末と有機溶剤・バインダーを混ぜてスラリー(泥状の液体)を作ります。

仕事内容と1日の流れ

計量室で原材料を秤に乗せ、指示書通りの重量を計測してホッパーや混合タンクに投入します。1ロットあたり20〜30kgの材料袋を扱う場面もあり、男性比率がやや高めの工程です。混合機を回している間は監視中心で、ロットごとのサンプリングと粘度測定を行います。

必要スキルと年収目安

正確な計量と薬品取扱いの基本知識が必要です。有機溶剤を扱うため、有機溶剤作業主任者の資格があると配属時に優遇されます。年収は20代で320〜380万円、30代で380〜450万円が中心ゾーンです。

工程2|成形・積層:シートを薄く伸ばして重ねる

調合したスラリーや材料を、製品の形状にする工程です。MLCCではドクターブレード法でスラリーをフィルム上に塗布し、数ミクロンの薄いセラミックシートを作ります。コンデンサ・コイル・基板など多くの部品で、この「シート成形」と「積層プレス」が中核工程になります。

仕事内容と1日の流れ

成形機・積層プレス機などの装置を操作・監視します。装置が連続稼働しているため、操作員は1人で2〜3台を担当し、シート切れ・ロール交換・段取り替えのタイミングで動くのが基本です。稼働中は座って装置を監視している時間が長く、肉体的な負荷は5工程の中でも軽い部類です。

必要スキルと年収目安

装置オペレーションの基礎、異常時の段取り替え、シート厚みの測定スキルが求められます。経験を積めばライン全体の段取りリーダーになる道もあります。年収は20代で340〜400万円、30代で400〜480万円が中心です。

工程3|電極形成:印刷・蒸着・めっきで導電層を作る

シートや成形体に電極(電気の通り道)を作る工程です。スクリーン印刷で銀ペーストを刷る方法、真空蒸着で金属薄膜を作る方法、めっき槽に浸ける方法など、製品ごとに技術が分かれます。

仕事内容と1日の流れ

クリーンルーム内で印刷機・蒸着装置・めっき槽を操作します。異物混入が品質に直結するため、クリーンルーム着用と動作制限がもっとも厳しい工程です。半導体工場ほどではないものの、頭髪・化粧・アクセサリーには細かいルールがあります。クリーンルーム作業の実態はクリーンルームはしんどい?経験者解説で詳しく書いています。

必要スキルと年収目安

クリーンルーム作法・印刷機の段取り・薄膜厚み測定が中心スキルです。年収は20代で330〜390万円、30代で390〜470万円。めっき工程では特定化学物質を扱うため、特定化学物質作業主任者の資格者は手当が付きやすい傾向です。

工程4|焼成・切断:高温炉で焼き固めてチップに切る

積層・電極形成が終わった成形体を、焼成炉(1,000〜1,400度)で焼き固めてセラミックを緻密化します。その後、ダイサー(精密切断機)で1個ずつのチップサイズに切り出します。

仕事内容と1日の流れ

焼成炉の温度プロファイル管理、台車の搬入・搬出、切断装置の段取り替えが主な作業です。炉の周囲は夏場で40度近くなることもあり、5工程の中で体感的な暑さがもっともきつい工程です。立ち作業と座り作業が半々程度で、安全靴・防熱手袋の着用が必須となります。

必要スキルと年収目安

焼成炉の温度管理、ガス雰囲気の知識、切断刃の管理が求められます。経験者は段取り工として独立した手当が付くことが多く、年収は20代で340〜410万円、30代で410〜500万円とやや高めです。

工程5|検査・実装:外観・電気特性を見て基板に載せる

完成したチップ部品を1個ずつ検査し、最後に顧客先で基板に実装する工程です。電子部品工場の中では女性比率がもっとも高く、未経験者の入口になりやすい工程でもあります。

仕事内容と1日の流れ

外観検査(顕微鏡・カメラ)、電気特性検査(自動測定機)、テーピング・梱包が中心です。座り作業が中心で、ピンセットで小さなチップを扱う細かな手作業もあります。基板への実装工程に進むと、手はんだ付け・リワーク作業を担当することもあります。手はんだの基本ははんだ付けのやり方とコツで解説しています。

必要スキルと年収目安

視力・集中力・判断速度が直接成果に効きます。年収は20代で300〜360万円、30代で360〜420万円。検査リーダーや実装ライン主任になれば手当が積み増され、年収500万円超も可能です。

電子部品の製造工程で必要なスキル・資格

5工程に共通して求められるスキルと、配属を有利にする資格を整理します。

共通して求められるスキル

  • 標準作業を守る基本動作(5S・整理整頓)
  • 異常を見逃さない観察力
  • QC的な不良原因の仮説立て
  • シフト勤務(多くは2交替・3交替)への適応

あると有利な資格

  • 有機溶剤作業主任者(材料調合・印刷工程)
  • 特定化学物質作業主任者(めっき工程)
  • QC検定3級・2級(検査・改善活動)
  • はんだ付け技能(実装工程)

未経験で電子部品工場に入る場合、入社時点で資格は不要です。配属後にOJTで覚えれば十分ですが、QC検定3級だけは独学で取りやすく、面接時のアピール材料になります。

電子部品の製造工程で働く人の年収相場

工程ごとの平均年収を、本田が見てきた現場感覚と求人データから整理します。

工程 20代年収 30代年収 40代年収
材料調合 320〜380万 380〜450万 430〜520万
成形・積層 340〜400万 400〜480万 450〜540万
電極形成 330〜390万 390〜470万 440〜530万
焼成・切断 340〜410万 410〜500万 470〜570万
検査・実装 300〜360万 360〜420万 400〜480万

大手電子部品メーカー(村田製作所・京セラ・TDKなど)の正社員であれば、上の表の上限よりさらに50〜100万円高い水準が現実的です。期間工・契約社員でも交替手当・寮費補助を含めると、額面年収400万円前後を狙えます。

経験者が語る|MLCCラインで働いた2年間のリアル

本田は29〜31歳の頃、京都府内の電子部品工場でMLCCの成形・積層工程に2年間在籍しました。当時の体感を時系列で書いておきます。

入社1〜3か月:クリーンルーム入室手順と装置の名前を覚えるだけで毎日が終わる感覚でした。先輩がマンツーマンで横についてくれ、独り立ち判定までの教育記録もしっかり残るので、未経験でも置いていかれません。

入社4〜12か月:2台担当のオペレーターとして1日2交替(早番・遅番)のシフトに入りました。稼働中はモニター監視で座っている時間が多く、想像していたよりも体力的に楽だったのが正直な感想です。

入社13〜24か月:段取り替え・トラブル対応を任され、後輩のOJT担当も兼ねるようになりました。月8〜15時間の残業で、年収は450万円ほどでした。

つらかったのは「同じ姿勢が続くこと」と「夏場の焼成炉エリアの暑さ」です。逆に、扱う製品が小さく軽いため腰・肩への負担は自動車部品工場ほどではなく、長く続けやすい職場だと感じました。

未経験から電子部品の製造工程に就く3ステップ

未経験で電子部品工場に応募する場合は、次の順番で動くと失敗が少ないです。

ステップ1:希望工程を決める

立ち作業が苦手なら検査・実装、体力に自信があるなら材料調合・焼成、装置に興味があるなら成形・電極形成、というように「自分の体力・性格・興味」を工程に当てはめてから求人を見るのが効率的です。

ステップ2:求人サイトで「工程名」で検索する

「電子部品 検査」「MLCC 成形」「コンデンサ 製造」など、工程レベルのキーワードで絞り込むと、求人票の精度が一気に上がります。電子部品工場の求人を探すから地域・雇用形態で絞り込めます。

ステップ3:面接で「配属工程の希望」を必ず伝える

面接時に「希望の工程はどこですか」と聞かれることがあります。ここで「どこでも構いません」と答えると、欠員が多い工程に回されがちです。希望工程と理由(体力面・興味)をセットで伝えると、本人の適性に合った工程に配属されやすくなります。

まとめ|電子部品の製造工程を理解して、自分に合う工程を選ぼう

電子部品の製造工程は「材料調合→成形・積層→電極形成→焼成・切断→検査・実装」の5段階で、それぞれ必要スキル・体への負荷・年収帯が異なります。求人票を見るときに「どの工程に入るか」を確認するだけで、入社後のミスマッチを大幅に減らせます。

本田の経験では、電子部品工場は座り作業の比率が高く、自動車部品や食品工場と比べて長く続けやすい職場です。未経験からでも教育体制が整っており、QC検定3級など独学で取れる資格を組み合わせれば、30代で年収450万円前後は十分に狙えます。まずは希望工程を決め、工程名で求人を絞り込み、面接でしっかり希望を伝える――この3ステップで動いてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 電子部品の製造工程は何段階ありますか?

量産工場での主要工程は「材料調合→成形・積層→電極形成→焼成・切断→検査・実装」の5段階です。製品カテゴリ(コンデンサ・コイル・コネクタなど)によって細部は変わりますが、大枠はこの5工程に整理できます。

Q2. 電子部品工場で一番きつい工程はどれですか?

体感的にきついのは焼成・切断工程で、夏場の炉周辺は40度近くになります。逆に検査・実装工程は座り作業中心で、5工程の中でもっとも体への負担が軽い工程です。

Q3. 未経験でも電子部品の製造工程に就けますか?

就けます。とくに検査・実装工程と成形・積層工程は未経験者の入口になりやすく、入社時点で資格や経験は問われません。OJTで2〜3か月かけて独り立ちするのが一般的です。

Q4. 電子部品の製造工程で年収が高い工程はどこですか?

焼成・切断工程と成形・積層工程は装置責任が大きく、段取り工になると手当が積み増されます。30代で500万円前後が見えてきます。検査・実装はリーダー職に上がれば同水準を狙えます。

Q5. 電子部品の製造工程で役立つ資格は何ですか?

QC検定3級(検査・改善)、有機溶剤作業主任者(材料調合)、特定化学物質作業主任者(めっき)、はんだ付け技能(実装)の4つが代表的です。入社後の取得でも十分間に合います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

製造業への転職をお考えですか?

ものづくりキャリアナビでは、製造業に特化した求人情報を多数掲載。
未経験歓迎の求人から技術者向けの専門職まで幅広くカバーしています。

製造業の求人を探す →

この記事を書いた人

工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活動中。

目次