結論から言えば、派遣は「何歳でも可能」ですが、年代ごとに採用されやすい業種と難易度がはっきり分かれます。法律上は年齢制限が原則禁止されているため上限はなく、実際に60代・70代で派遣登録して稼働している方も珍しくありません。ただし実態としては「40〜45歳の壁」が存在し、50代以降は職種が限定されてきます。この記事では工場派遣15年で20代から70代まで同じ現場で働いてきた本田健一が、年齢別の登録のしやすさ・採用されやすい業種・経験者の生の声を整理します。
結論を先に:派遣に法律上の年齢上限はなく、20〜30代=全業種OK/40代=同業経験あれば全方位/50代=製造・軽作業・物流/60代=清掃・警備・検品が中心、という棲み分けになります。年齢を理由に断られた場合も、業種を変えれば登録できるケースがほとんどです。50代以降の求人はミドル・シニア活躍特集から探すのが最短です。
派遣の年齢制限の実態|法律と現場のギャップ
厚生労働省の労働者派遣事業統計(2025年)によると、派遣社員の年齢構成は20代21%/30代27%/40代28%/50代17%/60代以上7%と、40代がボリュームゾーンです。正社員の中途採用市場と比べて派遣は40代以降の比率が明確に高く、「年齢が上がっても働き続けやすい雇用形態」だと言えます。
とはいえ、誰でもどの仕事にも入れるわけではありません。年代×業種の組み合わせで採用確率が大きく変わるのが派遣の特徴です。私が15年見てきた現場でも、50代で初めて派遣登録に来た方が「事務系は全滅、製造系は即決」というケースを何度も目にしました。
法律上は年齢制限が原則禁止|雇用対策法10条のルール
派遣を含む求人募集では、雇用対策法10条により年齢を理由とした制限が原則禁止されています。派遣会社の登録時に「○歳まで」と告知することも、派遣先が「○歳以下希望」と指定することも、原則できません。求人票で「年齢不問」と書かれているのは法律遵守の結果であり、特別なアピールではありません。
ただし例外規定があり、長期キャリア形成を理由とした若年層募集/60歳以上の高齢者限定募集/法令で年齢制限がある業務(深夜業の18歳以上など)については年齢指定が認められます。求人票に「35歳以下」と書ける案件は、この例外に該当している場合のみです。
派遣会社の「登録拒否」は違法か
派遣会社が年齢を理由に登録自体を拒否することは、雇用対策法の趣旨に反するため基本的にはNGです。実際には「ご希望の業種で現在ご紹介できる求人がない」という形での実質的な選別が行われています。これは違法ではないため、登録を断られた場合は別の派遣会社・別の業種に切り替えるのが現実的な対処です。
実態は40〜45歳の壁|未経験職種で生じる年齢の見えない天井
法律と建前は「年齢不問」ですが、現場の派遣営業に聞くと「40〜45歳が未経験職種の実質的な上限」という答えが返ってきます。これは派遣先企業の指揮命令者が同年代以上を部下に持つことを敬遠する心理と、体力的な業務マッチングの両方が理由です。
ただしこの壁は「未経験」前提の話で、同業経験者なら50代でも60代でも壁は存在しません。私の現場でも58歳でフォークリフトの経験を活かして派遣で入った方が、時給1,500円スタートで2年続いている例があります。「年齢の壁」ではなく「未経験の壁」と捉え直すのが正確です。
40代の壁を越える3つの条件
- 資格を1つ持つ:フォークリフト・玉掛け・クレーン・危険物乙4のいずれかがあれば、40代未経験でも即採用ラインに乗る
- 夜勤・交替勤務OK:人手が集まりにくいシフトに入れる人は年齢を問わず歓迎される
- 勤務地を広く取る:通勤30分圏に限定すると求人が一気に細るため、寮付き・住み込み案件まで視野を広げる
年代別の派遣登録のしやすさ|20代から70代まで
派遣登録の難易度を年代別にざっくり整理すると、20〜30代はほぼ全業種OK、40代は前職経験で分岐、50代は業種を絞れば余裕、60代は職種選択で稼働可能、というイメージです。
20代は派遣会社にとって「最も登録してほしい層」で、ほぼ無条件で歓迎されます。30代は経験者として扱われ、時給も最も高くなる年代です。40代は同業経験あれば30代と同等扱い、未経験は業種限定。50代は製造・物流・軽作業・清掃に絞れば登録は問題ありません。60代は警備・清掃・検品・マンション管理といった「シニア歓迎」明記の業種が中心です。70代は健康診断クリアが前提ですが、清掃・軽作業で稼働している方が実際にいます。
50代・60代でも採用される業種|現場の本音ベース
50代・60代で派遣登録を考えるなら、最初から「シニアが多い業種」を狙うのが最短です。具体的には製造業の検品・梱包・ライン補助、物流倉庫のピッキング・仕分け、施設警備、清掃業、マンション管理、フォークリフトオペレーターあたりが中心レーンになります。
逆に避けたほうが良いのは、ITサポート系・コールセンター・アパレル販売・若年層向けの接客職です。これらは派遣営業の感覚として「50代以上で決まりにくい」業種で、登録しても紹介が来ないか、来ても通らないケースが多いと聞きます。狙うレーンを最初から絞り込むほうが結果が出やすいのが派遣の世界です。製造系であれば派遣のメリット・デメリットを理解したうえで応募すると、ミスマッチを避けられます。
業種別・年齢別の時給相場(2026年)
- 製造業ライン:50代1,200〜1,500円/60代1,100〜1,400円(地域差大)
- 物流ピッキング:50代1,100〜1,400円/60代1,050〜1,300円
- 施設警備:50代1,100〜1,300円/60代1,050〜1,250円
- フォークリフト:50代1,400〜1,700円/60代1,300〜1,600円(経験者)
- 清掃:50代1,050〜1,250円/60代1,000〜1,200円
経験者の話|50代・60代で派遣登録した4人のケース
私の現場で実際に派遣として働いている、または働いていた方々の話を紹介します。Aさん(52歳・元飲食店店長)は飲食業を畳んで派遣登録、自動車部品の検品で時給1,350円スタート。「正社員時代より残業が無く、夜眠れるようになった」と話していました。
Bさん(58歳・元営業職)はリストラ後にフォークリフト免許を取得して派遣登録、倉庫オペレーターで時給1,500円・週5フルで月収27万円。「年齢で断られたのは最初に登録した派遣会社1社だけ、2社目以降は1週間で決まった」とのこと。Cさん(63歳・元工場勤務)は定年後そのまま継続雇用ではなく派遣に転じ、別工場で同じ工程の仕事を時給1,250円で。「給料は下がったが通勤が短くなって満足」と話しています。
Dさん(67歳・元自営業)は自営廃業後にマンション管理の派遣で週3日、月収12万円ペースで稼働。年金との組み合わせで生活も精神面も安定したとのことでした。共通しているのは「業種を絞った」「資格や経験を活かした」「派遣会社を複数登録した」の3点です。60代の働き方全般については60代の転職完全ガイドも併せて参考にしてください。
まとめ|派遣は「何歳でも」可能、ただし業種選びが命
派遣に法律上の年齢上限はなく、実際に70代まで稼働している方もいます。ただし年代ごとに採用されやすい業種は明確に分かれており、50代以降は最初から「シニアが多いレーン」を狙うのが鉄則です。製造・物流・軽作業・警備・清掃の5業種を中心に据え、可能なら資格を1つ追加すれば、60代でも時給1,300円台の派遣で十分に稼げます。
「年齢の壁」を感じている方は、業種を変える・派遣会社を変える・資格を1つ取る、のいずれかで景色が一変します。転職全般の年齢ハードルについては転職は何歳まで可能かも併せて読むと、派遣以外の選択肢も含めて整理できます。具体的な求人はミドル・シニア活躍特集から年代に合った案件を絞り込めます。
FAQ|派遣の年齢に関するよくある質問
Q1. 派遣に年齢制限はありますか?
A. 雇用対策法10条により、派遣を含む求人募集での年齢制限は原則禁止されています。求人票に「○歳以下」と書けるのは、長期キャリア形成・高齢者限定・法令上の制限など例外規定に該当する場合のみです。
Q2. 50代未経験でも派遣登録できますか?
A. 登録自体は可能です。ただし紹介される業種は限定され、製造・物流・軽作業・警備・清掃が中心になります。事務系・IT系・接客系は紹介が来にくいため、最初からレーンを絞って登録するのが現実的です。
Q3. 60代で派遣の時給はどれくらいですか?
A. 業種により1,000〜1,600円のレンジです。フォークリフトなど資格職は1,300〜1,600円、清掃・警備は1,050〜1,250円、検品・梱包は1,100〜1,300円が2026年の相場です。
Q4. 派遣会社に年齢で登録を断られました。違法ですか?
A. 年齢を理由に明示的に拒否することは雇用対策法の趣旨に反します。ただし「現在ご紹介できる案件がない」という形での実質的な選別は違法とはされていません。1社で断られても、別の派遣会社・別の業種で登録すれば通るケースがほとんどです。
Q5. 派遣で70歳まで働くことは現実的ですか?
A. 高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの就業機会確保が努力義務化されており、現実的に可能です。清掃・軽作業・マンション管理・施設警備など、シニア比率の高い業種であれば70歳前後まで継続稼働している方が実際にいます。
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