ガス溶接の資格|技能講習の内容と作業主任者の合格率・費用【2026】

ガス溶接の資格|技能講習の内容と作業主任者の合格率・費用【2026】




ガス溶接の資格は3段階に分かれています。作業に就くために必須の「ガス溶接技能講習」、作業の責任者になるための「ガス溶接作業主任者免許」、そして溶接の技量そのものを証明する「溶接技能者評価試験(JIS・WES)」です。

結論:未経験から溶接の仕事に入るなら、まず2日間・約13,000円のガス溶接技能講習を受ければ十分です。「ガス溶接技能者」と求人票にあれば、この技能講習の修了者を指すのが一般的な使い方になっています。作業主任者免許は合格率71.5%(令和7年度)で、講習を終えて経験を積んだ人が次に狙う資格になります。

この記事では、3つの資格の違い・講習の内容と費用・作業主任者試験の科目と合格率・アーク溶接の資格との違いを公式資料をもとに整理します。書いているのは製造業7社・15年の現場経験があり、溶接作業も経験した本田健一です。

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目次

ガス溶接の資格は3段階

資格 役割 取り方 費用の目安
ガス溶接技能講習 可燃性ガスと酸素を使う溶接・溶断・加熱の作業に就くために必須 登録教習機関で2日間の講習+修了試験 受講料約12,000〜13,000円+テキスト代880円
ガス溶接作業主任者免許 アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を使う作業の責任者(作業主任者)に選任されるための国家資格 安全衛生技術試験協会の免許試験に合格+免許申請 試験手数料8,800円
溶接技能者評価試験(JIS・WES) 溶接の技量を第三者が証明する資格。基本級と専門級がある 日本溶接協会の評価試験に合格 試験の種類による

順番は「技能講習→作業主任者→技能者評価」です。技能講習がなければ作業そのものに就けないので、ここから始めない選択肢はありません。

ガス溶接技能講習|就業に必須の資格

法律上の位置づけ

ガス溶接技能講習は、労働安全衛生法第61条・同法施行令第20条第10号・労働安全衛生規則第83条・ガス溶接技能講習規程(労働省告示第110号)に基づく講習です。可燃性ガス(アセチレン・プロパン・都市ガスなど)と酸素を用いて行う金属の溶接・溶断または加熱の業務は、講習を修了した人でなければ就けません。これを就業制限といいます。

実際に働いてみると、工場でガスバーナーを使って部材を切る「溶断」や、板を曲げるために炙る「加熱」もこの業務に入ります。溶接をしない人でも、ガスの火を扱う工程に入るなら修了証が必要です。

講習の内容と時間

登録教習機関である一般社団法人労働技能講習協会の案内では、講習内容は次のとおりです。

区分 講習科目 時間
学科 設備の構造・取扱いの知識 4時間
可燃性ガス及び酸素の知識 3時間
関係法令 1時間
学科試験 1時間
実技 ガス溶接等の設備の取扱い 5時間

学科1日・実技1日の合計2日間で、修了証は実技終了後に即日交付する機関が多くなっています。実技は溶接そのものより、ボンベの開け方・圧力調整器の扱い・点火と消火の手順・逆火したときの対応といった「設備の取扱い」が中心です。

受講資格と費用

機関(例) 受講資格 受講料 テキスト代 合計
公益社団法人愛知労働基準協会 満18歳以上 12,900円 880円 13,780円
一般社団法人労働技能講習協会(東京会場) どなたでも受講可 12,700円 880円 13,580円
同(静岡会場) どなたでも受講可 11,500円 880円 12,380円

金額は2026年9月時点の各機関の案内で、変更されることがあります。フォークリフトや玉掛けの技能講習と比べても安く、会社負担で受けさせてもらえることが多い講習です。入社前に自費で取っておくなら、会社の資格取得支援を確認してからでも遅くありません。

「合格率」はどう考えるか

「ガス溶接技能講習 合格率」で検索する人が多いのですが、技能講習の修了試験の合格率は公的に公表されていません。修了試験は講習で教わった範囲から出題されるので、2日間の講義をきちんと聞いていれば対応できる内容です。

現場の実感としては、講習で落ちる人はほとんど見たことがありません。ただし学科試験は1時間あり、圧力や法令の数字を問う問題が出ます。講義中に配られるテキストの太字部分を、休憩時間に一度読み返しておくと安心です。

ガス溶接作業主任者|責任者になるための国家資格

どんなときに必要か

アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を用いて金属の溶接、溶断または加熱の作業を行う場合、事業者はガス溶接作業主任者免許を受けた人の中から作業主任者を選任しなければなりません。作業主任者は、作業方法の決定や作業者の指揮など、作業全般の責任者として職務にあたります。

つまり技能講習が「自分が作業する」ための資格なら、作業主任者は「人に作業をさせる」ための資格です。班長やリーダーに上がるときに会社から取得を求められる場面が多くなります。

試験科目と合格基準

試験は公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施する学科試験です。

試験科目 出題数(配点)
ガス溶接等の業務に関する知識 5問(25点)
関係法令 5問(25点)
アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識 5問(25点)
アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識 5問(25点)
項目 内容
試験時間 13:30〜16:30の3時間(科目免除者は1時間30分)
受験資格 不要(本人確認証明書の添付が必要)
合格基準 科目ごとの得点が40%以上で、かつ合計が60%以上
試験手数料 8,800円(免許試験の学科試験共通)
科目免除 大学・高専で溶接に関する学科を専攻して卒業した人などは、装置とガスに関する2科目が免除
免許の交付 合格後に免許申請が必要。実務経験等を証する書類の添付が求められる

受験資格はないので、技能講習を終えたばかりの人でも試験だけは受けられます。ただし免許の交付には実務経験等の証明が必要なので、合格を先に取っておき、経験を積んでから免許を申請する順番になります。要件の詳細は厚生労働省の免許申請の案内で確認してください。

合格率|令和7年度は71.5%

安全衛生技術試験協会が公表している令和7年度の免許試験の結果です。溶接に関係する資格を並べます。

試験区分 受験者数 合格者数 合格率
ガス溶接作業主任者 1,021人 730人 71.5%
普通ボイラー溶接士 753人 435人 57.8%
特別ボイラー溶接士 154人 103人 66.9%

合格率71.5%は、同じ協会の免許試験の中では高い部類です。出題は20問と少なく、科目ごとに40%以上という足切りがあるので、4科目のどれかを捨てる勉強法は使えません。装置とガスの性質は技能講習の内容と重なるため、講習のテキストが試験勉強の土台になります。

ボイラー溶接士は、ボイラーや圧力容器の溶接に必要な別の免許で、ガス溶接作業主任者とは役割が違います。珍しい溶接系資格の位置づけは製造業の珍しい資格15選|意外と役立つ資格で触れています。

溶接技能者評価試験(JIS・WES)|技量を証明する資格

「WES溶接」と呼ばれるのは、一般社団法人日本溶接協会が実施する、JISやWES(日本溶接協会規格)に基づく溶接技能者の資格認証です。技能講習や作業主任者が「安全に作業できる・管理できる」ことを認める資格なのに対し、技能者評価試験は「きれいに溶接できる技量」を第三者が証明する資格です。

項目 内容
実施機関 一般社団法人日本溶接協会
区分 基本級(下向姿勢の溶接)と専門級(立向、横向、上向姿勢の溶接および管の溶接)
証明書の有効期間 適格性証明書は1年。有効期間満了前3か月以内にサーベイランスを申請し、確認されれば1年ずつ延長(サーベイランスは2回)
更新 登録後3年を経過して更新する場合は再評価を受ける

有効期間が1年と短く、継続して溶接をしていないと維持できない仕組みです。逆に言えば、証明書を持ち続けている人は「今も現役で溶接している」証明になるので、転職の書類では技能講習より強く働きます。溶接管理技術者との違いは溶接管理技術者の資格|特別級・1級・2級と年収で解説しています。

アーク溶接の資格との違い

工場の溶接はアーク溶接が主流で、ガス溶接は溶断や加熱、薄物の溶接に使われることが多くなっています。資格の仕組みも違います。

項目 ガス溶接 アーク溶接
就業に必要な資格 ガス溶接技能講習(技能講習) アーク溶接特別教育(特別教育)
実施する機関 登録教習機関 事業者または教習機関
責任者の資格 ガス溶接作業主任者免許(国家試験) 作業主任者の選任制度はない
技量の証明 溶接技能者評価試験(JIS・WES) 溶接技能者評価試験(JIS・WES)

技能講習は特別教育より上位の区分で、必ず登録教習機関で受ける必要があります。アーク溶接の特別教育は会社が自社で行うこともできる点が大きな違いです。アーク溶接の資格の詳細はアーク溶接の資格は意味ある?合格率・取り方3段階と年収を、半自動溶接との関係は半自動溶接とは?アーク溶接との違い・資格・年収を参考にしてください。

現場で見たガス溶接の資格の使われ方

私が溶接を担当していた職場では、ガス溶接技能講習は入社後の最初の数か月で会社負担で受けるのが普通でした。アーク溶接の特別教育とセットで受けさせる会社が多く、「溶接工の入口の2つ」という扱いです。

作業主任者免許を持っていたのは班長クラスで、ガスの集合装置がある工場では選任が必要なので、リーダー候補が順番に取っていました。現場でよく見たのは、免許を持った人が異動や退職で抜けると、次の人が急いで試験を受けるパターンです。先に取っておくと、その席に座る候補として名前が挙がりやすくなります。

これは経験者じゃないとわからないですが、ガス溶接でいちばん怖いのは溶接そのものより、ボンベ周りの扱いです。講習で習う「逆火」「圧力調整」「ホースの点検」は、現場に出てからも毎日使う知識なので、講習の2日間は真面目に受ける価値があります。溶接の仕事全体の給与や未経験の始め方は工場の溶接の仕事とは?給料・資格・未経験の始め方にまとめています。

取る順番と費用の合計

段階 資格 日数 費用の目安
入社前後 ガス溶接技能講習 2日 約12,000〜14,000円
入社後すぐ アーク溶接特別教育 会社・機関による 会社負担が多い
経験を積んだら ガス溶接作業主任者免許 試験1日 試験手数料8,800円+免許申請
技量を証明したい 溶接技能者評価試験(JIS・WES) 試験日による 種類による

技能講習と作業主任者を合わせても、費用は2万円台に収まります。ハローワークの職業訓練で溶接科に入ると、講習費用が訓練に含まれる場合があります。その仕組みはハローワークで取れる資格20選|製造業系と給付金制度で解説しています。

まとめ|まず技能講習、責任者になるなら作業主任者

  • ガス溶接の資格は、技能講習(就業に必須)→作業主任者免許(責任者)→溶接技能者評価試験(技量証明)の3段階
  • 技能講習は学科8時間+学科試験1時間+実技5時間の2日間。受講料約12,000〜13,000円+テキスト代880円。満18歳以上
  • 技能講習の修了試験の合格率は公表されていない。講習内容から出題される
  • 作業主任者免許試験は4科目20問・3時間・手数料8,800円。合格率は令和7年度71.5%。受験資格は不要だが免許交付には実務経験等の証明が必要
  • 溶接技能者評価試験は日本溶接協会が実施。基本級と専門級があり、証明書の有効期間は1年
  • アーク溶接は特別教育、ガス溶接は技能講習。技能講習は登録教習機関でしか受けられない

資格は現場に入ってから会社負担で取れることが多いので、まず溶接や加工の仕事に入ることが先です。

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よくある質問(FAQ)

Q. ガス溶接技能者とはどんな資格ですか?

一般に、労働安全衛生法に基づくガス溶接技能講習を修了した人を指します。可燃性ガスと酸素を使う金属の溶接・溶断・加熱の作業は、この講習の修了者でなければ就けません。

Q. ガス溶接技能講習の合格率はどれくらいですか?

技能講習の修了試験の合格率は公的に公表されていません。修了試験は2日間の講習で教わった範囲から出題されるため、講義を聞いていれば対応できる内容です。

Q. ガス溶接作業主任者の合格率はどれくらいですか?

安全衛生技術試験協会の統計では、令和7年度は受験者1,021人に対して合格者730人で、合格率71.5%です。

Q. ガス溶接作業主任者試験に受験資格はありますか?

受験資格は不要で、本人確認証明書の添付のみ必要です。ただし合格後に免許の交付を申請する際には、実務経験等を証する書類の添付が求められます。

Q. 費用はいくらかかりますか?

技能講習は受講料約12,000〜13,000円にテキスト代880円を加えた金額が目安です。作業主任者免許試験の手数料は8,800円で、免許申請の費用が別途かかります。

Q. WES溶接とは何ですか?

日本溶接協会が実施する、JISやWES(日本溶接協会規格)に基づく溶接技能者の資格認証を指します。基本級と専門級があり、適格性証明書の有効期間は1年で、サーベイランスにより延長します。

参照元

数値はいずれも2026年9月12日時点の公表内容です。受講料や手数料は機関・年度により変わるため、申込前に各機関の案内で確認してください。

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この記事を書いた人

工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活動中。

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