エネルギー管理士の年収は?難易度・合格率と取り方を解説【2026】

エネルギー管理士の年収は?難易度・合格率と取り方を解説【2026】




エネルギー管理士の年収がいくらかを示す公的な統計はありません。資格手当は会社ごとに決まり、求人票にも金額が書かれていないことが多いのが実態です。ただ「どの産業で、どの年齢で、どんな立場で働くか」で年収の目安は見えてきます。

結論:エネルギー管理士は省エネ法で選任が義務づけられた資格で、工場の中では「なくてはならない人」になれる数少ない資格です。年収は資格手当より、エネルギー管理者として選任されて設備管理の中核を担うこと、あるいはエネルギーを多く使う産業へ移ることで上がります。試験の合格率は令和7年度で33.5%(当サイト算出)、手数料は17,000円です。

この記事では、年収の考え方を厚生労働省の賃金データで整理したうえで、試験の内容・合格率・課目合格制度・研修ルートを省エネルギーセンターの公式資料をもとに解説します。書いているのは製造業7社・15年の現場経験がある本田健一です。ボイラーや空調のユーティリティ設備を担当する同僚と働いた経験から、資格が現場でどう扱われるかも書きます。

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目次

エネルギー管理士とは|省エネ法で選任が義務づけられた資格

「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)では、一定量以上のエネルギーを使う工場や事業場がエネルギー管理指定工場等(第一種・第二種)に指定されます。第一種エネルギー管理指定工場等のうち製造業などの5業種は、エネルギー使用量の区分に応じて、エネルギー管理士免状を持つ人の中から1人から最大4人のエネルギー管理者を選任しなければなりません。

つまり、大きな工場には法律上この資格を持つ人が必要です。「会社が必要としている資格」であることが、年収を考えるうえでの出発点になります。免状には熱分野・電気分野の区別がなく、どちらで取っても同じエネルギー管理士免状です。

免状を取る2つの方法

方法 内容 免状交付の条件
試験ルート エネルギー管理士試験に合格する。受験資格の制限なし エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上従事したことの証明(合格の前後は問わない)
研修ルート エネルギー管理研修(講義+修了試験)を修了し、経済産業大臣の認定を受ける 3年以上のエネルギー管理の実務経験が対象

実務経験がない人でも試験は受けられますが、免状の交付には1年以上の実務従事証明が必要です。先に合格しておき、設備部門に移ってから実務を積んで免状を申請する順番も認められています。

年収の考え方|公的データで見る目安

資格別の年収統計がないため、ここでは厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査から、エネルギー管理士が働く産業の賃金(月額・男女計・所定内給与額)を目安として示します。この数字は資格の有無を分けていない平均なので、資格を取ればこの金額になるという意味ではありません。

年齢階級 製造業 電気・ガス・熱供給・水道業
25〜29歳 249.8千円 298.5千円
30〜34歳 282.4千円 370.5千円
35〜39歳 313.8千円 429.6千円
40〜44歳 341.9千円 472.6千円
45〜49歳 356.5千円 506.8千円
50〜54歳 374.4千円 556.5千円
年齢計 318.6千円 437.5千円

電気・ガス・熱供給・水道業は、産業別で見ると賃金がもっとも高い産業です。エネルギーを扱う産業ほど賃金水準が高く、エネルギー管理士はその産業と製造業の両方で使える資格だという点が、年収を考えるときの一番大きな材料になります。

企業規模でも差があります。同じ調査の男女計では、大企業364.5千円・中企業323.1千円・小企業299.3千円でした。エネルギー管理者の選任が必要になるのはエネルギー使用量の多い大きな工場なので、資格が活きる職場は賃金水準の高い側に寄りやすい構造です。

年収が上がる3つのルート

ルート 何が変わるか 年収への効き方
1. エネルギー管理者に選任される 法律上の責任者になり、設備投資や省エネ計画の中心になる 役職・手当が付きやすい。会社が手放しにくい人材になる
2. 設備管理・ユーティリティ部門の中核へ ボイラー・冷凍機・受変電など工場のインフラ全体を見る 現場作業より賃金水準の高い職種へ移れる
3. エネルギー使用量の多い産業へ転職 化学、鉄鋼、セメント、製紙、電力など 産業ごとの賃金水準の差を取りにいける

現場でよく見たのは、ボイラー技士から始めてエネルギー管理士まで取り、ユーティリティ設備の責任者になったパターンです。「資格を取ったから月いくら上がった」ではなく、「その資格がないと務まらない席に座った」ことで年収が変わっていました。ボイラー技士との関係は特級ボイラー技士の難易度・年収・取り方で解説しています。

求人票で確認すべきこと

  • 「エネルギー管理士歓迎」「選任予定」:選任者としての採用なら責任が重いぶん条件も交渉しやすい
  • 「資格手当」の金額と支給条件:免状の交付が条件か、合格だけで支給されるかを確認する
  • 「資格取得支援」:受験手数料17,000円と研修受講料を会社が負担するか

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試験の概要|受験資格・課目・手数料

省エネルギーセンターの「受験の手引」から、令和8年度(第48回)試験の内容を整理します。

項目 内容
受験資格 制限なし
試験日 年1回。令和8年8月2日(日)
申込期間 4月6日〜6月22日(インターネット申込み)
受験手数料 17,000円(非課税)
試験地 北海道、宮城県、東京都、愛知県、富山県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
試験方法 筆記試験(マークシート方式)
合格基準 選択した分野の4課目すべてで配点の60%以上
合格発表 9月下旬に官報公示。受験者全員に合否通知書を郵送

熱分野と電気分野の課目

試験は「必須基礎区分+熱分野専門区分」か「必須基礎区分+電気分野専門区分」のどちらかを選びます。

課目 熱分野 電気分野
課目I(必須基礎) エネルギー総合管理及び法規
課目II 熱と流体の流れの基礎 電気の基礎
課目III 燃料と燃焼 電気設備及び機器
課目IV 熱利用設備及びその管理 電力応用

ボイラーや燃焼設備を担当してきた人は熱分野、受変電やモーター・照明を担当してきた人は電気分野が入りやすい選び方です。免状に分野の区別はないので、得意な側で受けて問題ありません。ボイラーの基礎はボイラーとは?資格・仕事内容・年収で、電気側の基礎資格は電気工事士の難易度・年収・取り方で解説しています。

課目合格制度|3年以内なら免除

一部の課目だけ合格基準に達した場合、その課目は「課目合格」となり、合格した年の初めから3年以内に同じ分野を受けるときは免除されます。4課目のうち一部の課目だけを受験することもできるため、働きながら2〜3年で取り切る計画が立てやすい試験です。

注意点として、免除期間中の課目は受験できず、3年を過ぎると課目合格は無効になります。分野を変更した場合の扱いは受験の手引のQ&Aに細かい条件があるので、変更前に確認してください。

難易度と合格率

省エネルギーセンターが公表した令和7年度(第47回)試験の結果を示します。

区分 申込者数 受験者数 合格者数 合格率(当サイト算出)
新規受験者(課目免除受験者を含む) 9,802人 8,300人 2,783人 33.5%
旧資格者(熱管理士・電気管理士からの移行) 21人 18人 13人 ―

受験者に対する合格者の割合は約33.5%です。この数字には課目免除を使って残りの課目だけ受けた人が含まれているため、初回受験で4課目すべてを一度に取る難易度はもう少し高いと考えたほうが安全です。

現場の実感としては、熱分野の課目II・III と電気分野の課目IIは計算問題が中心で、ここで点が取れるかどうかが分かれ目です。課目I(法規)は暗記で積み上げられるので、初回はまず課目Iと課目IVを確実に取り、計算課目を翌年に回す進め方が現実的です。

ほかの設備系資格との位置づけ

資格 役割 関連記事
エネルギー管理士 工場全体のエネルギー使用の合理化を管理する選任資格 本記事
ボイラー技士 ボイラーの取扱い作業主任者。熱分野の土台になる 特級ボイラー技士
高圧ガス製造保安責任者 冷凍機や高圧ガス設備の保安 高圧ガス資格の種類・難易度
衛生管理者 職場の衛生管理。管理職に求められやすい 衛生管理者の難易度・年収

設備系の資格は単独より組み合わせで効きます。ボイラー技士と高圧ガスを持つ人がエネルギー管理士まで取ると、工場のユーティリティ設備をひととおり任せられる人材になります。管理職側から見た資格の位置づけは製造業の管理職に必要な資格一覧|QC検定・衛生管理者・安全管理者にまとめています。

研修ルート|実務経験3年以上なら選択肢になる

エネルギー管理研修は、3年以上のエネルギー管理の実務経験を持ち、実務で培った知識や技術的素養をすでにある程度持っている人を対象にした認定制度です。

項目 内容
対象 3年以上のエネルギー管理の実務経験がある人
形式 講義(オンライン)+修了試験。令和8年度の講義視聴時間は合計33時間25分
修了の条件 すべての講義を受講したうえで修了試験に合格する。修了試験にも課目合格制度がある
注意点 専門区分は仮申込時点から変更できない。受講期間内に全講義を終えないと修了試験を受けられない

研修は「講義を聞けば取れる」制度ではなく、工学的な計算を伴う専門知識を持っていることが前提で修了試験が行われます。試験と研修は別の制度で、片方の課目合格をもう片方に持ち込むことはできません。

取得までの流れ

  1. 熱分野か電気分野かを、担当してきた設備で決める
  2. 4月6日〜6月22日にインターネットで申し込み、手数料17,000円を納付する
  3. 8月の試験を受ける。一部の課目だけ受けることも可能
  4. 合格した課目は3年間免除。翌年以降に残りの課目を取る
  5. 全課目合格後、実務従事1年以上の証明を添えて経済産業大臣に免状交付を申請する

過去の試験問題と標準解答は省エネルギーセンターのサイトで公開されています。実際に働いてみると、省エネの計算は現場の日報や電力の検針データと直結しているので、担当設備の数字で練習すると頭に入りやすいです。これは経験者じゃないとわからないですが、机上の問題より自分の工場のボイラー効率を計算するほうが覚えが早いものです。

まとめ|年収は「資格手当」より「選任される席」で決まる

  • エネルギー管理士は省エネ法に基づく資格。第一種エネルギー管理指定工場等の製造業などでは1〜4人の選任が義務
  • 年収の公的統計はない。製造業の平均賃金は318.6千円、電気・ガス・熱供給・水道業は437.5千円(月額・資格の有無を分けない平均)
  • 年収が上がるのは、選任者になる・設備管理の中核へ移る・エネルギーを多く使う産業へ移る、の3ルート
  • 試験は受験資格なし、年1回8月、手数料17,000円、4課目すべて60%以上で合格。課目合格は3年間有効
  • 令和7年度の合格率は33.5%(受験者8,300人・合格者2,783人から算出)
  • 研修ルートは実務経験3年以上が対象。免状交付には実務1年以上の証明が必要

資格を活かすには、まずユーティリティ設備や保全に関われる職場に入ることが先です。

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よくある質問(FAQ)

Q. エネルギー管理士の年収はいくらですか?

資格別の年収を示す公的統計はありません。目安として令和6年賃金構造基本統計調査では、製造業の賃金は月額318.6千円、電気・ガス・熱供給・水道業は437.5千円です。資格の有無を分けない平均なので、資格手当は求人票や会社の規程で確認してください。

Q. エネルギー管理士の難易度・合格率はどれくらいですか?

令和7年度は受験者8,300人に対して合格者2,783人で、合格率は約33.5%です(当サイト算出)。課目免除を使った受験者を含む数字なので、初回で4課目を一度に取る難易度はもう少し高めです。

Q. 受験資格はありますか?

受験資格の制限はありません。ただし免状の交付には、エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上従事したことの証明が必要です。実務は合格の前後どちらでも構いません。

Q. 熱分野と電気分野はどちらを選ぶべきですか?

免状に分野の区別はないので、担当してきた設備で選んでください。ボイラーや燃焼設備なら熱分野、受変電やモーターなら電気分野が入りやすい選び方です。

Q. 課目合格はいつまで有効ですか?

合格した課目は、その試験が行われた年の初めから3年以内に同じ分野を受験する場合に免除されます。3年を過ぎると無効になり、改めて受験が必要です。

Q. 試験と研修はどちらが取りやすいですか?

研修は3年以上のエネルギー管理の実務経験が対象で、講義33時間25分の受講と修了試験が必要です。実務経験が3年未満の人は試験ルートしか選べません。どちらも工学的な計算を伴う知識が前提です。

参照元

数値はいずれも2026年9月12日時点の公表内容です。合格率は公表された受験者数と合格者数から当サイトが算出しました。手数料や日程は年度により変わるため、申込前に公式サイトで確認してください。

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この記事を書いた人

工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活動中。

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