技術士のすごさとは?難易度・合格率と製造業での価値【2026】

技術士のすごさとは?難易度・合格率と製造業での価値【2026】




技術士のすごさは、「試験の難しさ」と「受けるまでの条件の重さ」が両方そろっている点にあります。第二次試験の合格率は令和7年度で11.4%、受験するには技術士第一次試験の合格に加えて4〜7年の実務経験が必要です。制度開始からの累計でも、第二次試験の対受験者合格率は16.5%にとどまります。

結論:技術士は技術士法に基づく国家資格で、登録した人だけが「技術士」を名乗れます。工場の現場作業から直接狙う資格ではなく、生産技術や品質保証、設備設計といった「計画・設計・評価」の仕事に移ってから目指すのが現実的です。

この記事では、技術士が「すごい」と言われる根拠を公式の統計で確かめたうえで、試験の流れ・手数料・製造業に関係する部門の合格率・工場勤務から目指すルートを整理します。書いているのは製造業7社・15年の現場経験がある本田健一です。私自身は技術士ではないので、現場から見た距離感を正直に書きます。

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目次

技術士とは|技術士法に基づく名称独占の国家資格

技術士制度は、「科学技術に関する技術的専門知識と高等の専門的応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた、優れた技術者の育成」を図るための国の資格認定制度です。技術士法に基づき、有資格者だけに技術士の名称の使用を認めています。

ポイントは「名称独占」であることです。第二次試験に合格しても、公益社団法人日本技術士会に登録を受ける前に「技術士」を名乗ると罰則の対象になります。逆に言えば、名刺に「技術士(機械部門)」と書ける人は、試験と登録の両方を通った人だけです。

21の技術部門

試験は文部科学省令で定める技術部門ごとに行われます。製造業と関係が深い部門を中心に整理します。

部門 製造業との関係
機械部門 機械設計、材料強度、加工・生産システム・産業機械など。工場の設備・生産技術に直結
電気電子部門 電力・エネルギーシステム、電気応用、電子応用、電気設備など
化学部門 化学プロセス、高分子化学など化学工場・素材メーカー
金属部門 金属材料・生産システム、表面技術、金属加工
経営工学部門 生産・物流マネジメント。生産管理・工場運営
衛生工学・環境部門 工場の排水・廃棄物・環境測定
総合技術監理部門 第二次試験のみ実施。ほかの部門の上位に位置づけられる

このほか船舶・海洋/航空・宇宙/繊維/資源工学/建設/上下水道/農業/森林/水産/情報工学/応用理学/生物工学/原子力・放射線の各部門があり、総合技術監理を含めて21部門です。受験者がもっとも多いのは建設部門で、第二次試験の受験者24,135人のうち14,094人を占めています。製造業の部門は人数が少ないぶん、社内で持っている人が目立ちます。

すごさの根拠|数字で見る3つの壁

壁1:第二次試験の合格率は1割台

日本技術士会の統計から、第二次試験の対受験者合格率の推移を抜き出しました。

年度 受験者数 合格者数 対受験者合格率
令和元年度 24,326人 2,819人 11.6%
令和2年度 20,365人 2,423人 11.9%
令和3年度 22,903人 2,659人 11.6%
令和4年度 22,489人 2,632人 11.7%
令和5年度 22,877人 2,690人 11.8%
令和6年度 23,043人 2,395人 10.4%
令和7年度 24,135人 2,752人 11.4%

7年連続で10〜12%の範囲に収まっており、年によって急に易しくなることがありません。昭和33年度から令和7年度までの累計では、受験者857,037人に対して合格者141,180人、対受験者合格率16.5%です。

壁2:受験するまでに4〜7年の実務経験

第二次試験は、技術士補となる資格(第一次試験の合格または文部科学大臣が指定した教育課程の修了)を持ったうえで、次のいずれかに該当する必要があります。

経路 必要な期間(総合技術監理部門以外)
技術士補として技術士を補助 通算4年を超える期間
監督者の指導の下で科学技術に関する業務に従事 通算4年を超える期間
科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務(計画・研究・設計・分析・試験・評価など)に従事 通算7年を超える期間(第一次試験合格前の期間を含められる)

総合技術監理部門は、上の経路でそれぞれ7年・7年・10年が必要です。大学院で研究した期間は2年を限度に短縮できます。つまり最短でも4年、多くの人は7年ルートで受験するため、20代で技術士になる人は少数です。

壁3:筆記と口頭の二段構え

第二次試験は筆記試験と口頭試験で行われ、口頭試験は筆記試験の合格者だけが受けます。筆記は7月中旬で、筆記の合格発表は10月下旬です。口頭試験は12月上旬から翌年1月に行われ、最終の合格発表は翌年3月上旬になります。7月に受けてから結果が出るまで8か月かかる、長い試験です。

試験の流れと費用

段階 内容 手数料 時期
第一次試験 基礎科目・適性科目・専門科目の択一式筆記。年齢・学歴・国籍・業務経歴の制限なし 13,000円(非課税) 11月下旬。合格発表は翌年2月下旬
実務経験 4年または7年を超える業務経歴を積む ― ―
第二次試験 筆記試験+口頭試験 20,500円/1技術部門(非課税) 筆記7月中旬、口頭12月〜翌1月
登録 日本技術士会へ登録申請。登録後に技術士を名乗れる 登録手数料が別途必要 合格後

第一次試験の内容は「大学のエンジニアリング課程修了程度」とされていますが、受験資格の制限はありません。工業高校卒の現場作業者でも、第一次試験は今すぐ受けられます。JABEE認定課程の修了者は第一次試験が免除されます。

第一次試験の合格率

年度 受験者数 合格者数 対受験者合格率
令和3年度 16,977人 5,313人 31.3%
令和4年度 17,225人 7,264人 42.2%
令和5年度 16,631人 6,601人 39.7%
令和6年度 16,666人 6,233人 37.4%
令和7年度 17,013人 5,754人 33.8%

第一次試験は3〜4割が合格しており、第二次試験より大幅に高い水準です。「技術士は難しい」という印象の中身は、ほぼ第二次試験の難しさです。

製造業に関係する部門の合格率

令和7年度の第二次試験について、製造業に関係する部門の結果を抜き出しました。

部門 受験者数 合格者数 対受験者合格率
機械 884人 143人 16.2%
電気電子 1,027人 104人 10.1%
化学 153人 21人 13.7%
金属 72人 13人 18.1%
経営工学 216人 30人 13.9%
建設(参考) 14,094人 1,304人 9.3%
総合技術監理(参考) 2,575人 584人 22.7%
全体 24,135人 2,752人 11.4%

選択科目まで見ると、機械部門の「機械設計」17.6%・「加工・生産システム・産業機械」13.3%・金属部門の「金属加工」8.6%・経営工学部門の「生産・物流マネジメント」14.5%・電気電子部門の「電気設備」4.1%でした。同じ部門でも選択科目で合格率が大きく違うため、自分の業務に近い科目を選ぶことが最初の分かれ目になります。

工場勤務から技術士を目指す現実的なルート

正直に書くと、ライン作業や検査といった現場作業の経歴だけでは、第二次試験の受験に必要な「計画・研究・設計・分析・試験・評価」の業務経歴として認められにくいと私は考えています。まず現場から一段上の仕事に移り、そこで経験を積むのが順番です。

段階 やること 関連する資格・仕事
1. 現場で基礎を固める 設備・工程・品質の仕組みを体で覚える 機械保全技能士、QC検定
2. 第一次試験を受ける 受験資格がないので現場にいるうちに受けられる 基礎・適性・専門の択一式
3. 計画・設計・評価の仕事へ移る 生産技術、品質保証、設備設計、工程設計 技術士補登録も選択肢
4. 実務経験を積んで第二次試験 業務経歴を整理し、筆記と口頭に備える 機械・金属・経営工学などから選ぶ

現場の実感としては、技術士を持っていたのは生産技術や設備設計の部署にいる人で、ラインで一緒に働いていた人ではありませんでした。ただし、その人たちの多くは現場出身で、工程を知っていることが設計の質に効いていると話していました。現場経験は無駄にならないものの、現場経験だけでは足りないと率直に思います。

現場から管理側へ進むときに評価される資格は製造業の管理職に必要な資格一覧|QC検定・衛生管理者・安全管理者に、品質の資格はQC検定1級の難易度・勉強時間・年収にまとめています。

年収について

技術士の年収を示す公的な統計はありません。資格そのものに手当を付ける会社もありますが、金額は会社ごとに違うため、この記事では数字を出しません。現場でよく見たのは、技術士の資格が「転職時の書類選考を通す力」と「顧客や官公庁との打ち合わせで信用される力」として働く場面でした。

技術士とほかの技術系資格の違い

資格 性格 受験の条件
技術士 高度な応用能力と倫理を認定する名称独占資格 第一次試験合格+実務経験4〜7年
技能士(技能検定) 現場の技能レベルを等級で認定 等級ごとの実務経験年数
電気工事士など業務独占資格 資格がないとできない作業を認める 資格ごとに異なる

技術士は「この作業ができる」資格ではなく、「技術的な判断を任せられる人だ」と国が認める資格です。技能士との違いは機械保全技能士の難易度・年収・取り方を、業務独占資格の例は電気工事士の難易度・年収・取り方を読むと分かりやすいと思います。製造業の資格全体の位置づけは製造業の資格一覧20選|年収アップ効果で整理しています。

まとめ|すごさの中身は「合格率1割台」と「実務経験の壁」

  • 技術士は技術士法に基づく名称独占の国家資格。登録した人だけが名乗れる
  • 第二次試験の対受験者合格率は令和7年度11.4%、7年連続で10〜12%。累計16.5%
  • 第二次試験を受けるには第一次試験合格+4〜7年の実務経験が必要
  • 第一次試験は受験資格の制限がなく、合格率は3〜4割。手数料13,000円
  • 第二次試験の手数料は1部門20,500円。筆記7月・口頭12〜1月・発表翌年3月
  • 製造業なら機械・金属・電気電子・化学・経営工学部門。選択科目で合格率が大きく違う
  • 現場作業からは、生産技術や品質保証に移ってから目指すのが現実的

技術士を視野に入れるなら、まず「計画・設計・評価」に関われる職場を選ぶことが出発点になります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 技術士はなぜすごいと言われるのですか?

第二次試験の合格率が令和7年度で11.4%と低く、受験自体に第一次試験合格と4〜7年の実務経験が必要だからです。技術士法に基づく名称独占資格で、登録者だけが名乗れます。

Q. 技術士の難易度はどれくらいですか?

第一次試験は令和7年度で対受験者合格率33.8%、第二次試験は11.4%です。第二次試験は筆記と口頭の二段構えで、7月の筆記から翌年3月の合格発表まで8か月かかります。

Q. 高卒や工場勤務でも技術士になれますか?

第一次試験は年齢・学歴・業務経歴の制限がなく受験できます。第二次試験には計画・設計・評価などの業務経験が4〜7年必要なので、生産技術や品質保証などの仕事で経歴を積む必要があります。

Q. 試験の手数料はいくらですか?

第一次試験は13,000円、第二次試験は1技術部門につき20,500円で、いずれも非課税です。合格後の登録には別途登録手数料がかかります。

Q. 製造業ではどの部門を選べばよいですか?

設備や生産技術なら機械部門・素材や加工なら金属部門・化学プラントなら化学部門・生産管理なら経営工学部門が近い部門です。選択科目によって合格率が大きく違うため、自分の業務に近い科目を選んでください。

Q. 技術士補とは何ですか?

第一次試験の合格者やJABEE認定課程の修了者(修習技術者)が登録することでなれる資格です。技術士補として技術士を通算4年を超えて補助すると、第二次試験の受験資格になります。

参照元

数値はいずれも2026年9月12日時点の公表内容です。試験日程や手数料は年度により変わることがあるため、受験前に日本技術士会の実施案内で確認してください。

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この記事を書いた人

工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活動中。

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