電気通信主任技術者の難易度・合格率と取り方を解説【2026】

電気通信主任技術者の難易度・合格率と取り方を解説【2026】




電気通信主任技術者の難易度は、合格率でいうと20〜30%台の国家試験です。直近3回の合格率は33.4%・25.3%・20.8%と回によって差があります。制度開始からの累計では22.0%です。工場勤務の私から見ると「勉強すれば届くが、片手間では落ちる」試験です。

結論:受験資格の制限がなく、科目免除と科目合格を組み合わせれば、働きながらでも2〜3回の受験で取り切れる設計になっています。ただし製造業の現場で必須になる資格ではないので、「通信設備の側へキャリアを広げたい人」に向いた資格です。

この記事では、伝送交換と線路の違い・試験科目と手数料・合格率の推移・免除制度の使い方を公式資料をもとに整理します。書いているのは製造業7社・15年の現場経験がある本田健一です。通信の専門家ではないので、工場で働く人の目線で「取る価値があるか」を正直に書きます。

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目次

電気通信主任技術者とは

電気通信主任技術者は、電気通信ネットワークの工事・維持・運用の監督責任者です。電気通信事業者は、事業用の電気通信設備を総務省令の技術基準に適合するよう自主的に維持するため、電気通信主任技術者を選任しなければなりません。選任は原則として設備を直接管理する事業場ごとに行われます。

ひとことで言うと、通信会社の設備を「技術基準どおりに保つ責任者」の国家資格です。試験は電気通信事業法第48条に基づいて行われ、実施機関は一般財団法人日本データ通信協会の電気通信国家試験センターです。

伝送交換と線路の2種類

資格者証は、ネットワークを構成する設備に着目して2種類に分かれています。

種別 監督できる範囲 設備のイメージ
伝送交換主任技術者 伝送交換設備とこれに附属する設備の工事・維持・運用 交換機、伝送装置、サーバーなど局舎内の設備
線路主任技術者 線路設備とこれに附属する設備の工事・維持・運用 光ファイバーケーブル、電柱、管路など屋外の設備

どちらを受けるかは、将来関わりたい設備で決めます。局舎や機器室の設備管理に進みたいなら伝送交換、ケーブル工事や屋外設備の管理に進みたいなら線路です。試験科目は「設備及び設備管理」だけが種別ごとに違い、「電気通信システム」と「法規」は共通です。

試験の概要|科目・時間・手数料

受験の手引きに書かれている内容を表にまとめます。

項目 内容
試験科目 ①電気通信システム ②伝送交換設備及び設備管理(線路は線路設備及び設備管理) ③法規
試験時間 設備及び設備管理150分(10:00〜12:30)/法規と電気通信システムは各80分(13:50〜16:30)
合格点 法規・電気通信システム:100点満点で60点以上/設備及び設備管理:150点満点で90点以上
試験手数料 29,000円(非課税)。全科目・2科目・1科目受験とも同額。全科目免除申請は14,700円
試験日 年2回。第1回は7月、第2回は翌年1月(令和8年度は7月12日と2027年1月31日)
合否発表 試験日の3週間後にマイページで確認
受験資格 公示・受験案内に受験資格の要件はなく、学歴や実務経験がなくても申請できる

注意したいのは、1科目だけ受けても手数料が29,000円かかる点です。科目合格を使って2回に分けると、手数料は合計58,000円になります。1回で全科目を取り切るか、確実に2回で取るかは、勉強時間と相談して決めてください。

法規で問われる法律

法規の出題範囲は6つの法律・条約にまたがります。

  • 電気通信事業法とこれに基づく命令
  • 有線電気通信法とこれに基づく命令
  • 電波法とこれに基づく命令
  • 不正アクセス行為の禁止等に関する法律とこれに基づく命令
  • 電子署名及び認証業務に関する法律とこれに基づく命令
  • 国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の大要

実際に働いてみると、法規は「読めば分かる」科目ではありません。条文の数字(届出期限や設備の基準値)を暗記できるかどうかで点が決まります。過去問題と正答は試験日の翌週水曜に公式サイトで公表されるので、まず過去問から手をつけるのが近道です。

難易度と合格率|直近の推移

電気通信国家試験センターが公表している統計から、直近の合格率を抜き出しました。

実施回 受験者数 合格者数 合格率
令和5年度第2回 3,305人 1,017人 30.8%
令和6年度第1回 2,972人 725人 24.4%
令和6年度第2回 2,926人 958人 32.7%
令和7年度第1回 2,428人 812人 33.4%
令和7年度第2回 2,647人 671人 25.3%
令和8年度第1回 2,377人 494人 20.8%

合格者数には全科目免除者も含まれています。回ごとに10ポイント以上ぶれるので、「前回が高かったから次も高い」とは考えないほうが安全です。制度開始からの累計は受験者391,804人に対して合格者86,117人、合格率22.0%です。

種別ごとの合格率

実施回 伝送交換 線路
令和6年度第1回 21.0% 31.9%
令和6年度第2回 34.6% 28.8%
令和7年度第1回 34.2% 31.9%
令和7年度第2回 24.6% 26.7%
令和8年度第1回 20.8% 20.7%

「線路のほうが簡単」とは言い切れません。回によって伝送交換が上回ることも線路が上回ることもあり、差は数ポイント以内です。受験者数は伝送交換が線路の2倍前後で、選ぶ人が多いのは伝送交換です。

難易度をどう見るか

合格率20〜30%台という数字は、工場でよく取られる資格と比べると低い部類です。同じ電気・通信系の国家資格と並べると位置づけが分かります。

資格 役割 試験の性格
電気通信主任技術者 電気通信設備の工事・維持・運用を監督する 筆記3科目。計算と法規暗記の両方
工事担任者 電気通信回線に端末設備を接続する工事を行う、または監督する 同じ電気通信国家試験センターが実施
電気工事士 電気工作物の工事を行う 筆記に加えて技能試験がある実技型

工事担任者との違いは工事担任者の難易度|試験と年収で、電気工事士は電気工事士の難易度・年収・取り方で解説しています。電気通信主任技術者は「設備の監督者」の資格なので、手を動かす技能試験はなく、筆記だけで合否が決まります。

科目免除と科目合格を使った取り方

この試験の特徴は、免除制度が手厚いことです。受験案内には次の免除が挙げられています。

免除の種類 内容
資格による免除 対象となる資格を持っている人は、該当科目の免除を申請できる(資格者証の写しの提出は不要)
科目合格 過去に受験して合格した科目は免除を受けられる。申請期限に注意
資格と実務経歴 伝送交換または線路の資格を持つ人が、もう一方の種別を受けるとき、取得後の実務経験に応じて免除を申請できる
学歴と実務経歴 一定の学歴と卒業後の実務経験がある人は、経歴証明書を添えて免除を申請できる
認定学校の単位修得 総務大臣が認定した教育施設の科目履修証明書で「電気通信システム」を免除できる

免除は自動では適用されません。試験申請の受付期間内に免除申請をしなければ、条件を満たしていても全科目受験になります。証明書類はインターネットでのアップロードが原則です。

働きながら取る現実的な順番

  1. 1回目:3科目すべてを申請し、電気通信システムと法規を確実に取る。共通科目で範囲が読みやすい
  2. 2回目:科目合格で2科目を免除し、設備及び設備管理に集中する。配点150点で範囲が広い科目に時間を全振りできる
  3. 全科目に合格したら、受験地を管轄する総合通信局へ資格者証の交付を申請する

1回で取り切れれば29,000円で済みますが、2回に分ける前提で計画したほうが、平日勤務の人には現実的です。試験は7月と1月なので、片方に落ちても半年後に再挑戦できます。

工場勤務からこの資格を活かす道

正直に書くと、製造ラインの仕事でこの資格が求められることはほぼありません。活きるのは、通信会社や通信工事会社、データセンターの設備部門など「通信設備を持つ側」に移るときです。

進み方 活き方 相性のよい経験
工場の設備保全から通信設備管理へ 設備を技術基準どおりに保つ発想が共通 電気設備・制御盤の保全経験
通信機器の製造・検査から設備運用へ 装置の中身を知っている強みが出る 伝送装置・基地局機器の組立や検査
工事担任者から段階的に上位資格へ 端末側の工事から設備全体の監督へ広がる LAN・電話設備の工事経験

現場の実感としては、工場の設備更新で外部の通信工事会社が入るとき、現場を仕切っていたのは資格を持つ主任技術者クラスの人でした。設備を「動かす側」から「監督する側」に回りたい人にとって、この資格は入口になります。工場の設備保全の資格については機械保全技能士の難易度・年収・取り方も参考にしてください。

費用を会社に出してもらえるか

製造業でも、設備・情報システム部門が資格取得支援の対象にしていることがあります。手数料29,000円は自腹だと重いので、申請前に支援制度の有無を確認してください。制度の使い方は資格取得支援制度とは?工場で使える資格と費用にまとめています。

勉強の進め方

公式サイトでは試験問題と正答が公表されています。参考として、総務省が公表した「電気通信主任技術者スキル標準(第2版)」も受験案内から案内されています。

  • 法規:条文の数字を表にして暗記する。6つの法律をまたぐので、法律ごとに整理する
  • 電気通信システム:電気通信工学の基礎(電気回路・伝送理論)と、システムの大要(ネットワーク構成)の2本立て
  • 設備及び設備管理:設備の概要に加えて、設備管理・セキュリティ管理(伝送交換はソフトウェア管理も)が範囲。150点満点で90点が必要

勉強時間の目安は公的なデータがないので、この記事では数字を出しません。実際に働きながら受ける人は、平日は法規の暗記、休日は計算問題という分け方をすると続けやすいです。これは私が夜勤明けに資格勉強をしていたときの実感で、暗記は短時間の反復、計算はまとまった時間が向いています。

まとめ|難易度は高めだが、制度を使えば届く

  • 電気通信主任技術者は通信設備の工事・維持・運用の監督責任者。伝送交換と線路の2種別
  • 試験は3科目。設備及び設備管理は150点満点で90点、ほかは100点満点で60点が合格点
  • 合格率は直近で20.8〜33.4%、累計22.0%。回によるぶれが大きい
  • 手数料は科目数にかかわらず29,000円。科目合格を使うと2回で58,000円
  • 受験資格の要件はなく、免除制度が手厚い。免除は申請しないと適用されない
  • 製造ラインで必須ではないが、通信設備を持つ側へ移るときの入口になる

工場の設備保全から通信設備管理へ広げたい人は、まず設備側の求人で経験を積むのが現実的です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 電気通信主任技術者の難易度はどれくらいですか?

合格率は直近6回で20.8〜33.4%、制度開始からの累計で22.0%です。筆記のみの3科目試験で、法規の暗記と設備管理の計算の両方が求められます。

Q. 伝送交換と線路はどちらが簡単ですか?

回によって逆転するため、どちらが簡単とは言えません。令和7年度第1回は伝送交換34.2%、線路31.9%、令和8年度第1回はともに20.8%前後でした。将来関わりたい設備で選んでください。

Q. 受験資格はありますか?

公示と受験案内に受験資格の要件は記載されておらず、学歴や実務経験がなくても申請できます。ただし試験申請はマイページの作成と手数料の払込みが必要です。

Q. 試験手数料はいくらですか?

29,000円(非課税)です。全科目・2科目・1科目のどの受験でも同額で、全科目免除申請は14,700円です。払込み後のキャンセルはできません。

Q. 科目合格に有効期限はありますか?

過去に合格した科目は免除申請ができますが、申請には期限があります。受験案内の「試験免除の詳細・注意事項」で期限を確認したうえで、申請受付期間内に免除申請をしてください。

Q. 工場勤務でも取る意味はありますか?

製造ラインで必須になることはほぼありません。設備保全や通信機器の製造経験を活かして、通信会社や通信工事会社の設備管理へ進みたい人にとっては、監督者側へ回るための入口になります。

参照元

数値はいずれも2026年9月12日時点の公表内容です。手数料や日程は年度により変わることがあるため、申請前に公式サイトで確認してください。

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この記事を書いた人

工場勤務歴15年。愛知県の自動車部品工場でライン作業・検品・溶接・フォークリフトを経験。20代で住み込み寮生活を3年間送り、カップル寮も経験。班長として後輩指導も担当。35歳で製造業から転身し、現在は工場勤務の経験を活かしてライターとして活動中。

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